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情報通信技術の教育への活用 〜シンガポールのあるインターナショナルスクールの場合〜
こんにちは。TAMSANで働くアシスタントのHです。
Education Technologyが話題になって、もう数年が経ちますが、
ITについても、教育についても、日本で注目されることが多いシンガポール。今回は、シンガポールのEducation Technologyについてご紹介します。
早速ですが、私の娘が通っているシンガポールのインターナショナルスクールの小学校では、ITが授業でも授業以外でもツールとして自然に活用されています。いったいどのように活用されているのかについて、ご紹介します。
インターナショナルスクールにおける生徒のタブレット端末活用について
まず、授業では、1年生から週1回、ICTの授業があります。学校で共有のiPad(一人一台使用可能)を使って簡単な操作ができるようになることを目的としていて、授業の中では、ITを使用するにあたってのマナーやルールも合わせて教わることになります。
また帰宅後は、自宅のPCやタブレットを使って行う宿題があります。オンラインで本を読みリスニングや読解テストを行うリーディングの宿題や、単元ごとに問題を解いていく算数の宿題などがそうです。
4年生以降になると全員必須で自分のipadを持って行くようになります。端末の購入だけでなく、学習に必要な20個程度の有料(!)アプリも購入・インストールが必要です。
この学年になるとICTの授業がある訳ではなく、UOI(Unit of Inquiry)と呼ばれる探求の単元や、科学や算数、さらには音楽や第2言語の授業などでiPadを使うことになります。忘れてしまうと支障をきたすほど日々の授業で活用します。
また、インター校ではどの科目においてもプレゼンテーションをする機会が多くあるのですが、この際にも自分たちのiPadで作り上げたプレゼンテーションをApple TVを使って発表することがあります。このApple TVは各クラスにあり、先生のiPad、生徒一人一人のiPadとつなぐことができるようになっているのです。
インターナショナルスクールと保護者の連絡やりとりもデジタルベース
次に学校と親との連絡方法についてです。
まず、紙でのお知らせはほとんどありません。
親と学校・先生とのコミュニケーションは、メールを基本としていて、学校で実施された様々な説明会の資料については、学校のWebサイトから閲覧することになっています。また、クラスイベントの情報などはスプレッドシートで共有されたりします。個人面談の申し込みや課外授業の申し込みも、やはり学校のWebサイトを通して登録することになっています。
親自身もある程度ウェブに慣れていないと、大変困ってしまうと思われます。
その他のシーンでのデジタル
授業や宿題以外では、どのようにITに触れる機会があるでしょうか。
ECAやCCAと呼ばれる課外授業や習い事、長期休暇中のホリデースクールなどでは、IT関連の科目が多く存在します。Lego LoboticsやWebデザイン、コーディングなどです。これはインター校生に限らず、多くのシンガポール現地校生も興味のある分野のようです。
低学年からこのような科目を受けることができ、年齢が上がるにつれ、内容が高度になります。どの科目も子どもたちが興味を持つように作られていて、ゲーム感覚で楽しみながら抵抗なく学べるように工夫されています。また、娘のまわりの子どもたちの間では、国籍性別を問わず、マインクラフトというゲームをiPadで遊ぶというのが流行っているようです。
さいごに
私自身、娘にiPadを所有させるまでは、依存症のようになったらどうしようか、まだこの年齢では必要ないのでは…と思ったものですが、実際、活用している姿をみると、使用時間や使用するアプリ・サイトなど各自のルールさえ守れば、意味のある使われ方をしていて、ネガティブなイメージはなくなりました。
また、寝食を忘れるほど読書が好きな娘は、これだけiPadが身近にあって日々活用しているものの、電子図書は選ぼうとしません。本はめくる楽しみ、ここまで読んだという実感があるので紙のものに限るのだそうです。漢字の練習や芸術分野もそうですが、ITには取って代われないものがやっぱりあるのだと、デジタルネイティブな娘を見ながらも感じています。