TAMSAN BLOG

シンガポール、デジタルマーケティングことはじめ

当サイトをご覧の皆さん、はじめまして!

シンガポールで日系企業のマーケティングを支援しているTAMSANです。

このブログに辿り着かれたということは、ビジネスや現地事情など
何らかの形でシンガポールや周辺国に興味をもたれているのではないでしょうか。
そんなことはない?
いやこれからのマーケッターは海外のこと知らないと危ないですよ……ふふっ。

そんな感じで、今回はシンガポールでのデジタルマーケティング事情についてご紹介したく思います。

ガジェット大好きシンガポーリアン

Team of Asian business people having a meeting.

シンガポールを歩くと、目につくのがスマートフォンやタブレットを触っている人の多さです。
バスの中ではインターネットやゲームなどで時間を潰している人たちをよく見かけます。

「携帯を手放せないシンガポール人」などという記事もありますが、
国民のスマートフォン普及率が87%(ニールセン調べ、2013年9月)にまで達していることを考えると、
もはや生活する上で欠かせないアイテムと言っても過言ではないでしょう。
なお、参考までに日本は49.7%とまだ半分に達していないようです。(IDC JAPAN調べ、2013年10月)

そんなシンガポーリアンが最も触れるメディアは、当然インターネット。
Googleによれば、インターネットの接触率は51%とテレビやラジオを引き離して一位となっています。

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ネット広告はベストセオリーか

こうした数字を挙げると、マーケティング施策としてはウェブが最も重要な要素となりそうな気がしますが……
実際のところ、現地の広告事情はどうなっているのでしょうか?
まずシンガポールにおけるメディア別広告予算を見ていきましょう。

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広告市場における予算総額は2010年時点で約$12億(約1,200億円相当)となっており、
そのうちネット広告の占める割合は4%です。(M&M GLOBAL調べ)

この割合は2013年には7%にまで増えていますが、それでもわずか7%……
日本では考えられない割合の低さです。

シンガポールでは、まだまだテレビや新聞への出稿が強いのです。

重要なのはモバイル

こうした数字はある種、ネット広告がシンガポールでは成熟していないことを示唆しています。
そのため、これからの急激な発展を指摘する者も少なくありません。

一例を挙げると、MMA (Mobile Marketing Association) は
2014年のモバイルにおけるネット広告市場は前年比で25%~35%もの成長を遂げると予測しています。

同組織アジア太平洋支部のディレクターであるRohit Dadwalは以下のように評しています。

“Given the findings from this exercise in Singapore,
there is no doubt that mobile is the undiscovered jewel in the media mix. ”
(シンガポールでは、メディアミックスにおけるモバイルはまだ発見されていない宝石のようなものだ)

一筋縄ではいかないマーケティング展開

シンガポールで集客をお考えの方は
「なんだ、やっぱりインターネット広告が重要じゃないか、スマホだけ注意すればいいんだな」
「よし、価格が高騰していない今のうちに手を付けよう」などと思われるかもしれません。

しかしながら、そのまま広告展開を考えるとまず確実に壁にぶつかります。

ではありがちな問題をつらつらと挙げていきましょう。

問題点その1 – 言語は何にするべきか

ご存知の通りシンガポールは多民族国家、
公用語だけで英語、マレー語、標準中国語(北京語)、タミル語と4種類定められています。

gsg

Google Singaporeなんかでも4つの言語から選択できるようになっています。
ではそれぞれ4つの広告を作成しないといけないのか?というと答えはNo。

現地を訪れるとすぐに分かりますが、こちらの広告はほぼすべて英語で制作されています。
よほどのことがない限り、他3つの言語で広告を配信するメリットは薄いといえるでしょう。

※ ちなみに、これは隣国マレーシアでも同様の傾向があります。シンガポールほどではないですが……

問題点その2 – 決裁方法は何を用意するか

FC_Nets_MakeLifeGreat

VISAやMastercardなどに対応しておけば問題なし、と思われるかもしれません。
実際、店頭などでも問題なく使えます。(ただしICチップ付きのクレジットカードが必要。)

とはいえ、大多数のシンガポーリアンが利用しているのは、NETSと呼ばれるデビットカードです。
詳細な普及率は明らかではないもの、銀行口座を開設すると一緒についてくるので、
実質100%を超えているものとみなして良いでしょう。

こちらのNETSのオンライン決済版がeNETSと呼ばれるもので、
シンガポーリアンをターゲットにするECサイトを構築する場合、導入を検討した方が無難です。

問題点その3 – 検索ボリュームが足りない

シンガポーリアンがいくらインターネットに触れるとはいえ、国全体の人口は日本の1/20程度の500万人程度。
検索ボリューム数の絶対数はどうしても少なくなり、日本と同じ感覚で運用するとすぐに行き詰まります。

Googleトレンドの急上昇ワードなどを見ると、この少なさの感覚が掴めるのではないでしょうか。

ではどうすればいいか。

これは発想を逆転させ、シンガポーリアンは検索ばかりしている訳ではないと認識した上で
リスティングに頼らない集客方法を試みる必要があると割り切るのが重要です。

具体的に何をどうするのか?
それはおいおいこのブログで書いていきたいと思います。(待て次回!)

とりあえずやってみる

先の例はまだまだ序の口で、シンガポールでデジタルマーケティングを考える場合、
考えないといけないことはまだまだ出てくるかと思います。

それでもシンガポールは魅力のある市場です。
一人あたりGDPは日本やアメリカを超え、個人の購買力は侮れないものがあります。
また主観になりますが、国土が狭いこともあり、
シンガポールの人は自国にはない新しいものを貪欲に求める印象があります。

最近では楽天が進出したように、こうした人たちに向けて
現地でビジネスを展開する企業は今後も増えていくのではないのでしょうか。

シンガポールだけではなく、周辺にはシンガポールと同じくインターネットの接触率が高いマレーシア、
将来の市場として有望視されているインドネシアなど、魅力的な市場を持つ国がたくさんあります。

もしシンガポール、あるいは周辺各国でビジネス展開を検討されておりましたら、ぜひとも当社にご相談ください。